GASTRONOMY
2021.12.21
三好市の新たな食の魅力創出を目指す「三好市ガストロノミープロジェクト」。12月8日、大歩危・祖谷エリアの宿で構成される「大歩危・祖谷いってみる会」グループ第2回目の試食・検討会が開催されました。前回に引き続き、会場となったのは、「祖谷渓温泉 ホテル秘境の湯」(三好市西祖谷山村)。食のメンター、京都の老舗料亭「菊乃井」常務取締役の堀知佐子さん指導のもと、副菜とスイーツの新メニューの試作、そして前回試作したメニュー「特大しいたけと鹿肉のステーキ そば米リゾット添え」の磨き上げをおこないました。
前回の課題や経験を踏まえて、より具体的なものに
参加した旅館ホテルは、「和の宿 ホテル祖谷温泉」(三好市池田町)、「峡谷の湯宿 大歩危峡まんなか」(三好市山城町)、「湯元新祖谷温泉 ホテルかずら橋」(三好市西祖谷山村)、「大歩危温泉 サンリバー大歩危」(三好市山城町)、「渓谷の隠れ宿 祖谷美人」(三好市西祖谷山村)、そして会場を提供する「祖谷渓温泉 ホテル秘境の湯」。計6つの旅館ホテルからシェフや代表者が集まりました。
前回、担当者が張り付いて温度を管理していた低温調理(鹿肉)のオペレーション上の課題。今回は低温調理器を導入し、鹿肉調理のオペレーション負荷を減らすなど、挙がっていた課題を解決しながら進み、レシピや盛り付けに関しても、2月の三好市フェアに向けて、より具体的に、完成品に近いイメージで試作されました。
副菜にもこだわりの食材、地元の特産品と合わせながら
副菜に使用する食材も地産品が中心、ひとつ目は祖谷豆腐。別名、「石(いわ)豆腐」とも呼ばれる祖谷地方の特産品です。いわゆる木綿豆腐の製法で作られる豆腐ですが、更に固く、ずっしりと重みも感じます。その由来は、祖谷地方が日本三大秘境に数えられるほどの山間地域であることから。険しい山道を行き来しても型崩れしないよう、縄で縛って持ち運べるほどの固い豆腐になったと、祖谷豆腐の製法や歴史が伝えられています。また、豆腐作りは使用する水も大切なポイント。剣山山系をはじめとした祖谷山麓から流れる良質な山水が使われていることも、美味しい豆腐が作られる理由です。
祖谷豆腐(岩豆腐)
今回、祖谷豆腐と合わせる山菜には、ぜんまいとイタドリを用意。どちらも祖谷の自然が育む“山の幸”です。実は、三好市山城町は、ぜんまい栽培発祥の地。水はけの良い急傾斜の農地は、ぜんまい栽培に適している土壌のため、良質で太いぜんまいが育ちます。スイーツで使用する柑橘には、地産の柚子を使用。昼夜の寒暖差が大きい山間地域ほど、香りの良い柚子が育つと言われています。その他、県産の米粉やそば粉、前回に続いて地産のそば米や原木しいたけなど、地のものを中心にこだわりの食材が集められました。
ぜんまい
地産の柚子
イタドリ
トッピングや見た目のインパクトも大切に
それらの食材で新たに試作したメニュー、1品目は「山菜の祖谷豆腐和え」。シャキシャキの山菜と口当たりの良い祖谷豆腐がマッチする逸品です。素朴な味わいが実に祖谷らしい、名脇役な料理ですが、冬(2月)開催の三好市フェアでは旬の山菜を使うことが難しいので、別の食材で代用される予定です。また、メンターの堀さんは副菜に関して、「彩りも意識しながら、お披露目に向けて調整していきたい」と語っていました。次に、新メニューとして試作したのが、和スイーツの「柑橘と和三盆のカステラ」。今回は、米粉とそば粉で試作されました。爽やかな柚子の香りは抜けが良く、柑橘を強く感じるスイーツです。カステラ自体の甘さは控えめで、アイスが添えられる前提で作られています。前回に続き試作した「特大しいたけと鹿肉のステーキ そば米リゾット添え」に関しては、相談の上ミルクリゾットで確定するなど、オペレーションだけではなくレシピもほぼ完成、あとはトッピングなどの細かい調整に入ります。見た目のインパクトも重要なお披露目会では、その存在感を発揮してくれるはずです。お馴染みとなった当日のアドリブ料理は、そば団子と祖谷豆腐に柚子味噌を塗って焼いた田楽焼き風の一皿。味わいは、祖谷地方の郷土料理「でこまわし」を彷彿とさせます。
山菜の祖谷豆腐和え
柑橘と和三盆のカステラ
特大しいたけと鹿肉のステーキ そば米リゾット添え
でこまわし
次回、フェアに向けた最終調整へ
参加者のひとり、一般社団法人三好市観光協会の太田由美さんからは、「祖谷豆腐やそば団子はまさに“祖谷の味”なので、ぜひ前面に押し出してPRして欲しいです」といった声が上がり、その他の参加者からも前向きな声が聞こえました。一方で、「インパクトがあるが故に食べにくさもあるので、用意するカトラリーへの意識も重要」といった、現場のプロ目線による具体的な提案も出た第2回目の試食・検討会。次回、第3回目の試食・検討会では、三好市フェアに向けた最終調整に入ります。