GASTRONOMY
2022.10.20
三好市の新たな食の魅力創出や食を通じた観光誘客を目指す「三好市ガストロノミープロジェクト」。市内飲食店を中心に構成される「まちなかグループ」に続き、大歩危・祖谷エリアの宿で構成される「大歩危・祖谷いってみる会」の第1回試食・検討会が10月5日に開催されました。会場となったのは、「祖谷渓温泉 ホテル秘境の湯」(西祖谷山村)。食のメンター、京都の老舗料亭「菊乃井」常務取締役の堀知佐子さん指導のもと、新メニューを試作しました。
テーマは「慈食」、朝食としても楽しめる料理を
当日は、会場の「祖谷渓温泉 ホテル秘境の湯」をはじめ、「峡谷の湯宿 大歩危峡まんなか」(山城町)、「湯元新祖谷温泉 ホテルかずら橋」(西祖谷山村)、「大歩危温泉 サンリバー大歩危」(山城町)から代表者が参加しました。2年目の大歩危・祖谷いってみる会のテーマは「慈食」。地元の食材を使いながら、慈しみの心を込めた料理、朝食としても楽しめるメニューの開発を目指します。加えて、地域と食をセットでアピールしていくこと、食材のストーリーをしっかり伝えることなど、昨年度からの課題にも取り組みます。その背景には、三好市を欧米豪から食を目的に4~5日間滞在してもらえる場所にするというプロジェクト目標があり、歴史や文化、地域の暮らしを体験したい層やローカルフードを求める観光客のニーズに応えられるメニュー開発、三好市らしい食材選びが重要なポイントとなります。そのほか、まちなかグループと同様に、調理オペレーションの効率化も課題のひとつ。ツーオーダーでも提供に時間がかからないよう、現場を意識したメニュー開発・レシピ作りをおこなっていきます。また、今年度のプロジェクト全体のテーマは「連携と挑戦」。グループ単体ではなく、まちなかグループやメンター・アドバイザー間との連携や共有も積極的におこないます。
祖谷の特産品、ジビエや雑穀などを活用
1品目の試作メニューは、「祖谷豆腐とジビエつくねと野菜の鍋仕立」。使用するジビエは、三好市の東祖谷地域にあり、国産ジビエ認証を受けている「祖谷の地美栄」で処理・加工された鹿肉です。急傾斜地が多く、険しい山々を駆け回る祖谷の鹿は、締まった肉質と綺麗な赤身が特徴的。つくねにはモモを、もう一つの石川県の郷土料理「治部煮」風の鍋にはロースを使用します。また、伝統的な製法でつくられ、大豆の風味がしっかりと感じられる特産の祖谷豆腐や急傾斜地で栽培される良質なぜんまいなど、そのほかの食材も地元産にこだわり、祖谷の山の幸が集まる逸品となりました。2品目は、「ごうし芋とジビエのガレット」。ガレットは、フランス・ブルターニュ地方発祥で、そば粉に水や塩などを混ぜた生地を薄い円形に伸ばして焼き、好みの具を乗せて食べる料理です。なかでも有名なのは、そば粉を使用したガレット。そば粉の香ばしい風味ともちもちの食感が楽しめる料理として、広く親しまれています。具材に使う地元食材は、ジビエのほかにごうし芋。ごうし芋とは、東祖谷地域で江戸時代から栽培され、先祖代々受け継がれてきた品種です。一般的なじゃがいもより小ぶりで、素朴で引き締まった舌ざわりと淡泊ながら独特な甘みがあります。煮込むほど固く締まり、煮くずれしないのが最大の特徴。祖谷の郷土料理「でこまわし」にも使われています。生地に乗せるトマトベースのソースには、祖谷で育てられている雑穀も入っています。また、鹿肉と雑穀(そば米)を使い、ひき肉に甜麺醤やその他調味料を合わせた特製味噌を乗せたリゾット風のお粥も試作しました。三好市らしい、ストーリーをしっかりと伝えられる食材選びがポイントの2年目。今後もメニュー全体のバランスを見ながら、アレンジや工夫を凝らした料理を試作していきます。
ジビエをつくねに
固くて大きな祖谷豆腐
鍋仕立に
雑穀とそば粉
そば粉をガレットに
祖谷豆腐とジビエつくねと野菜の鍋仕立て
ごうし芋とジビエのガレット
リゾット風お粥
課題を改善し、次回の試食・検討会へ
試食後は意見交換をおこない、参加者全員で味付けや調理法の改善点を共有。第1回ということで明確な課題も見つかり、次回に向けて有意義な試食・検討会となりました。メンターを務める堀さんは、「みんなで意見を出し合い、今日出た課題を改善していきましょう。自分も学べることが多く、感謝の気持ちでいっぱいです」と語りました。昨年度以上に世界に目を向けて推進される三好市ガストロノミープロジェクト。まずは発表の場、来年2月に都内で開催予定の三好市フェアに向けて、第2回の試食・検討会でメニューをブラッシュアップしていきます。