SPECIAL
2022.11.09
誰もが学校で勉強したであろう「中央構造線」。みなさんは覚えているだろうか。九州東部から関東へと横断する世界第一級の大断層で、地図を開けば徳島県の北部で緑の自然が途切れている様子を目にできる。
四国地方といえば「八十八ケ所巡り」のお遍路が有名だが、徳島県三好市は国内だけではなく、実は海外からも注目を集めていることをご存知だろうか。外国人からパワースポットとして密かに人気を博しているのは、圧倒的な大地の力も関係しているのかもしれない……。
ふと湧いた疑問を解消するため、同地の魅力を探る旅へと向かった。
まず中央構造線について少し触れよう。これは、関東西部から四国あたりまで続く長大な断層線のこと。
約1億年前、日本列島が誕生するよりも前にプレートの運動によって横ずれの断層が生まれ、長い年月をかけて1,000kmに及ぶ世界第一級の活断層へと発展した。
その中央構造線が通る三好市は、徳島県の西部に位置する。江戸時代から明治期頃までタバコ産業で栄え、吉野川を活用した水運によって「阿波刻みたばこ」を全国へ出荷していた。
現在、同市では「ジオパーク構想」と呼ばれる取り組みを推し進めている。中央構造線によって生み出された特異な地形を教育や観光に生かしているのだ。
三好市の地形的な特徴をより深く知るため、吉野川にある池田湖を訪ねた。ラフティングボートで湖上を周遊しながら、このエリアのジオについて教えてくれたのは、「みよしジオガイドの会」だ。
「ここは山に囲まれているので、風の影響をほとんど受けません。ゆっくり周りながら三好市や吉野川を案内するのにぴったりの場所なんです」
池田湖は2018年のウェイクボード世界大会の会場として選ばれた場所で、“ウォータースポーツの聖地”という側面から見ても海外から注目を集めているという。
湖上をゆっくりと進んでいくと、大きなダムが見えてくる。この池田ダムが建てられたのは1975年頃のことで、香川県民の水瓶として、阿讃(讃岐)山脈にトンネルを通して水を送っているのだとか。
「昔の吉野川は、北にある香川県に向かって伸びていました。けれども、300万年前に阿讃(讃岐)山脈が誕生したことで流路が東に変わり、香川県に流れなくなったんです」
なるほど。三好市の雄大な自然は、大地だけではなく水も大きく関わっているのか……。
Part2でより広い視野で三好市の奥地、祖谷(いや)を目指してみることにしよう。
>>大地の力が眠る徳島県! 三好市のパワースポットを巡る旅 Part2|大歩危峡遊覧船で三好の自然を堪能
編集:男の隠れ家デジタル 文:菅堅太 撮影:井野友樹
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