SPECIAL
2022.05.19
徳島県三好市で、地場産の食材を活かした“新しい食の魅力創出”を目指してスタートした「ガストロノミープロジェクト」。このプロジェクトには、地元で食産業に携わるメンバーだけでなく知識豊富な専門家も参加している。三好市食のアンバサダーで三好市観光特使でもあるタレント&一般社団法人 国際SDGs推進協会 理事の大桃美代子さんをはじめとしたゲストを迎え開催された「徳島県三好市の食とお酒を楽しむ夕べ」。今回はお披露目された料理の数々を紹介する。
【前回までの記事はこちら】
>>酒蔵「今小町」「三芳菊酒造」を訪ねる~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.1
>>「にし阿波世界農業遺産」を擁する奥祖谷へ~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.2
>>三好人の元気の秘密に迫る~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.3
>>三好市観光特使に就任!!~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.4
>>可能性を秘めた三好の食の造り手との交流~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.5
>>三好食材を使った魅力的な新メニュー試食会〜大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.6
>>「徳島県三好市の食とお酒を楽しむ夕べ」東京開催!〜大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.7
「徳島県三好市の食とお酒を楽しむ夕べ」でお目見えしたのは「食のメンター」堀 知佐子先生と三好市の料理人集団が度重なる試食会を経て生み出された料理。コース形式で振る舞われた5品とは? 一品一品を堀先生の言葉を借りて詳細解説する。
「石(いわ)豆腐味噌漬2種」(左上)
白味噌と梅酢に漬け込み、フロマージュのように仕立てたものと、味噌・酒・みりん・砂糖で漬け込んだ和食の趣のあるものの2種を。味わいの違いを楽しめる内容となっている。
「あめごとそば米の麹漬」(右上)
3枚おろしにしたあめごを昆布締めに。さらに塩麹とそば米を合わせ、食感を楽しみながらいただく一品に。
「椎茸と鹿肉のロースト そば米リゾット添え」(中央)
徳島名産の椎茸をベースにタカキビとヒエのミルクリゾット、さらに鹿肉のローストを重ねて。一番上にはをもちきびをトッピングした。鹿肉は60度の低温調理で1時間じっくり蒸しており柔らかな仕上がりだ。
「でこまわし」(手前)
郷土料理の「でこまわし」をひと口サイズのピンチョスに。祖谷こんにゃく、ごうしいも、祖谷豆腐と名産3種を使用している。ベースには田楽味噌をまとわせ、祖谷こんにゃくには七味、ごうしいもには山椒、祖谷豆腐には柚子の味付けを。食材ごとに香りを変え、個性を引き立たせた。
「珍しい食材が豊富なのも祖谷地方のひとつの財産。それぞれに見合った形でお料理しました。お酒との相性も良いと思います」と堀先生。こちらの料理には今小町酒造の純米大吟醸「穣(ゆたか)」を合わせていただいた。
祖谷こんにゃく、ごうしいも、祖谷豆腐にそば粉をまとわせて揚げたものにタレを絡めた一品。こちらは大歩危温泉郷でいただくことのできる堀先生が中心となり開発されたコース料理「千年の饗膳」のメニューのひとつでもある。Natan葡萄酒醸造所の「Shanti(シャンティ)」(白 徳島県産)をマリアージュし、さっぱりとした組み合わせに。
「阿波尾鶏はモモ肉も胸肉もさっぱりしている割に旨味が強いんです」と堀先生。今回使用したのは胸肉で、椎茸などのキノコ類をネギ、生姜で香りづけしアクセントに豆板醤をプラスしたものを合わせた。胸肉の物足りなさを軽減し食べ応えのある仕上がりとなっている。力強い阿波尾鶏との相性を踏まえ、お酒は芳水酒造の純米大吟醸を。
そば米とタカキビを使用したトマトリゾットは阿波尾鶏の皮をカリっと焼き、その油でとった油を出汁にしたという。トマトジュースと水、パルメザンチーズのみで炊きあげているが阿波尾鶏の旨味が凝縮された味わいとなっていた。こちらはイタリアンということで、Natan葡萄種醸造所の赤ワイン「cheeky(チーキー)」(赤 徳島県産)とともにいただいた。
「そば米とタカキビはアルデンテにしているんです。雑穀をアルデンテで仕上げること自体珍しいと思います」と堀先生。「地元ではそば米をとても柔らかく煮るんです。ですが、独特の香りと食感を残すように仕立てたくて。当初は祖谷温泉の料理人チームとバトルもしましたよ(笑)」と続けた。
「そば米だったらそばの香りが残るように、雑穀だったら雑穀の香りが残るようにする方が良いのでは? とディスカッションし何度も試作しました」。双方の新しい気付きを経て、新しい料理が生み出されていったという。
すだちの皮を練り込んだカステラに酒粕と和三盆のムースを添えたデザートがコース料理を締め括った。「冷たくなってもしっとりしたプリンのような食感の台湾カステラ風のすだちと和三盆のカステラです。すだちをトッピングして香りを増してみました」。
酒粕は三芳菊酒造のものを使用しており、酒粕と牛乳、和三盆を少量加えたものだという。「絞りの浅い酒粕ですから、作りながら酔っ払っちゃうくらい! 酸味のアクセントを加えるため、すだちのジャムを添えています」。デザートには三芳菊酒造の「愛山」、または曲風園の「大歩危和紅茶」を合わせて。
非常にバランスの良い酒粕だったということで、堀先生は「三好は素晴らしい食材の宝庫なんだなと改めて感じた」と続けていた。三好で行われた試食会に参加した大桃さんも「試食会でいただいたものから随分変化していますね!」と驚嘆していた。
三好の食材の調理方法を再解釈し可能性を拡げた今回の試みで、慣れ親しんだ食材の新たな形が提示される形となった。今後、「大歩危・祖谷いってみる会」や「まちなかグループ」にもレシピが共有される予定だ。
次回は大桃美代子さんに伺った「徳島県三好市の食とお酒を楽しむ夕べ」の感想をお届けする。
【前回までの記事はこちら】
>>酒蔵「今小町」「三芳菊酒造」を訪ねる~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.1
>>「にし阿波世界農業遺産」を擁する奥祖谷へ~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.2
>>三好人の元気の秘密に迫る~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.3
>>三好市観光特使に就任!!~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.4
>>可能性を秘めた三好の食の造り手との交流~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.5
>>三好食材を使った魅力的な新メニュー試食会〜大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.6
>>「徳島県三好市の食とお酒を楽しむ夕べ」東京開催!〜大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.7
大桃美代子(おおもも・みよこ)
Instagram:miyoko_omomo
タレント、新潟食料農業大学客員教授、一般社団法人 国際SDGs推進協会理事、農業ジャーナリスト。新潟中越地震の復興の姿を見てもらおうと、故郷で「桃米」を栽培している。雑穀エキスパートの資格を取得するなど、食への造詣も深い。
三好ガストロノミープロジェクト
Instagram:miyoshi.gastronomy
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