SPECIAL
2022.12.11
源平の内乱や平家一族の盛衰が描かれた『平家物語』。800年以上の時を経た今でも忘れ去られることはなく、その生き様をモデルに近年では大河ドラマ『鎌倉殿の13人』やTVアニメなども制作されている。
『平家物語』の後半では、数え年で8歳の安徳天皇が祖母と入水する場面が描かれ、悲劇的な最期を迎えた天皇として記憶している人も多いだろう。
しかし、徳島県の三好市では「実は安徳天皇が生き延びていた」という逸話が残っているのだ。今回は「もうひとつの平家物語」が語り継がれる徳島の秘境を訪ねた。
【前回までの記事はこちら】
>>徳島県三好市の秘境・祖谷に伝わる逸話|『平家物語』には続きがあった?Part1
>>徳島県三好市の秘境・祖谷に伝わる逸話|『平家物語』には続きがあった?Part2
>>徳島県三好市の秘境・祖谷に伝わる逸話|『平家物語』には続きがあった?Part3
>>徳島県三好市の秘境・祖谷に伝わる逸話|『平家物語』には続きがあった?Part4
平家の歴史を辿る旅もいよいよ終わり。最後に訪ねたのは「和の宿 ホテル祖谷温泉」である。
創業から50年以上の歴史を持ち、2021年3月にリニューアル。国内外から多くの観光客が訪れる人気の宿だ。
祖谷渓を見下ろす高台に建ち、大自然のパノラマを楽しめる展望テラスが設えられている。
夏の新緑や秋の紅葉など、季節ごとに違った表情を見せる祖谷の自然が楽しめる。
さらに、ホテルの下には露天風呂があるという。ケーブルカーで下ること約5分、徐々に川のせせらぎが聴こえてきた。
ホテル祖谷温泉の湯は、源泉掛け流しのアルカリ性単純硫黄温泉。
硫黄の香りを存分に堪能しながら湯に浸かれば、ぬるっとした湯触りが肌に心地よく、長旅の疲れがほどけてゆくようだ。
同ホテルの社長・植田佳宏さんによると、祖谷エリアには古くから温泉が湧き、平家の一族もこの祖谷温泉に浸かったという話もあるとのこと。
ゆっくりと温泉に浸かりながら、1日かけて辿ってきた平家の歴史に思いを馳せていると、時空を越えたような不思議な感覚を覚えるのだった。
入浴後は、ホテル祖谷温泉の夕食をいただいた。
三好の特産品・ごうしいもの田楽や毬栗、茗荷寿司など、地の食材を使った「秋の前菜盛り合わせ」や「阿波金時豚の豚骨スープ鍋」など、いずれも滋味深く体に優しい味がする。
あれもこれもと箸が伸び、あっという間にペロリと平らげてしまったのである。
【詳細情報】
和の宿 ホテル祖谷温泉
住所:徳島県三好市池田町松尾松本367-28
料金:57,500円〜(1泊2名、夕・朝食付き)
【HP】【Facebook】
800年以上もの時を経て、今なお日本人の心を刺激する『平家物語』。
安徳天皇や平家一族は非業の死を遂げたといわれる一方で、三好では祖谷の地へと逃げ延びたと伝わっている。
国内には平家ゆかりの地が数多くあるが、実際に祖谷の地を訪ね歩くと、彼らの息遣いを確かに感じられた。
徳島県を訪れる方は、ぜひ三好そして祖谷の秘境へと足を運び、悠久の時の流れとともに、もう1つの平家の足跡を感じ取ってもらいたいものだ。
編集:男の隠れ家デジタル 文:菅堅太 撮影:井野友樹