日本人と温泉の関係は縄文時代にまで遡り、湯に浸かっていたとみられる痕跡がある遺跡が発掘されたり、「日本書紀」や「万葉集」などの文献からも禊としての神事や天皇が温泉行幸で使用した温泉の名前が残っています。

仏教の「施浴」により入浴は一般化し、江戸時代には効能を格付けした「温泉番付」が作られるなど、日本人と温泉の関係は脈々と続いてきました。
旅行での楽しみの1つに温泉に入る、という人も多いのではないでしょうか。

徳島県三好市にも温泉があります！
日常から離れ、日々の疲れを癒し、心と身体の両方がリラックスできる秘境の湯へ、皆さまをご案内いたします。

今回は、大歩危祖谷温泉郷の中からおすすめの温泉をご紹介します。

湯元新祖谷温泉　ホテルかずら橋

日本三大奇橋の1つで重要有形民俗文化財であるかずら橋のほど近くにある「ホテルかずら橋」は、山小屋風の素朴なケーブルカーで登った先にある天空露天風呂が特徴です。
自分で発車ボタンが操作できるため、お子さんには特別な体験となることでしょう。

登っていく毎に景色が変わっていく楽しさは、大人もワクワクします。
ケーブルカー乗り場の脇に遊歩道もあり、徒歩約10分程で登られます。

露天風呂の手前は展望台となっており、「天空足湯」があります。
心地よい温度で、目の前には深呼吸したくなるような山並みが広がり、晴れた日にはここでゆっくりと時を過ごしたい気持ちに誘われますが、お目当ての露天風呂は目の前です！

180度のパノラマが広がる露天風呂は、山の上にあるので遮るものがありません！
木々の揺らめきまでも感じられる大自然に抱かれながら入る温泉で、気持ちがリセットされていくのが分かります。

泉質は「単純硫黄泉」。
関節痛や筋肉痛をはじめ、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、慢性消化器病、冷え性などに効能があり、疲労回復や健康増進にも適しています。

つぼ湯に佇む愛らしい狸が、温泉情緒を一層引き立てています。
弘法大師が狸と狐を四国と本州とで住み分けるようにと狐を追い出したという言い伝え、「阿波狸合戦」という狸たちの大戦争の伝説や「平成狸合戦ぽんぽこ」など、徳島県と狸には深い縁があります。

温泉やお風呂では体内から多くの水分を失うので、休憩所にある給水機で水分を補給しながらひと休みしましょう。
茅葺き屋根で囲炉裏のある家屋は昔話の世界そのままに、日本の原風景が今も息づいています。

天空露天風呂と大浴場は日帰り入浴で利用が可能で、日帰り入浴とお食事のセットプランもあります。

貸し切り風呂や貸し切り五右衛門風呂は宿泊者限定となっています。

天空露天風呂・大浴場
【利用時間】10:30～16:00
【入浴料金】大人:1,200円　6歳から12歳:600円　3歳から5歳:300　3歳まで:無料
【備品】タオル:200円 (販売)　バスタオル:400円 (販売)

和の宿　ホテル祖谷温泉

かずら橋から車で約20分、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」にも掲載され星を獲得した「ひの字渓谷」を越えた先にあるホテル祖谷温泉は、祖谷渓を約170ｍ下るケーブルカーに乗った先にある谷底の露天風呂が特徴です。

2023年の春に新調された4代目となるケーブルカーは、清々しい祖谷の水をイメージした水色の車体にイワツツジが大きく描かれています。
車内は、「ジャパンブルー」と呼ばれる藍の産地である徳島県を象徴する濃藍色で、描かれたヤブツバキの赤が鮮やかに映えています。

ケーブルカー乗り場前は展望テラスになっており、祖谷渓谷を見渡せる抜群のロケーションです！
「山笑う」の春の芽吹き、「山滴る」の夏の生命力、「山粧う」の秋の彩り、「山眠る」の冬の静けさ…四季それぞれに趣深く、いずれも心に残る絶景です。

また、ケーブルカー乗り場にはヤマガラの餌やり場があります。
タイミングが合えば手の平に餌を乗せて、食べにくるヤマガラの姿を写真に収める事もできますよ！

祖谷温泉のケーブルカーも、自分で発車ボタンを操作できます。
座席の1つ1つに、肌触りの良いひざ掛けが置いてある気配りが嬉しいですね。

傾斜角42度を下るケーブルカーは5分ほどで高さや景色が変わるちょっとしたアトラクションのようで、下っていくケーブルカーとは反対に温泉への期待は上がっていきます。

祖谷川にせり出すように造られた露天風呂は少し白濁して見えますが、湯の花が浮かぶ様はまさに良質な温泉の証と言えます。

そう、ホテル祖谷温泉の温泉は四国では珍しい源泉かけ流しなのです！
加温をしていないので、時にはぬるく感じる事もありますが、その分ゆっくりと浸かれます。

泉質は「アルカリ性単純硫黄温泉」。
効能は神経痛、リューマチ、外傷、婦人病、美容、健康疲労回復に最適との事。
少しとろりとした、滑らかな湯触りが特徴です。

絶えず聞こえてくる川のせせらぎに、森の中にいるようなくつろいだ気持ちになります。
深い山を分け入って祖谷にたどり着き湯治したと伝わる平家も、この祖谷川のせせらぎを聞いたかもしれません。

ホテル本館の2階にある展望風呂も利用可能です。
大きな窓からの眺めは、祖谷渓谷を借景した壮大な絵画のよう。
お湯の表面にもリフレクション写真のように景色が反射して映っているので、浸かるとまるで自分も絵画の1部になったかのような気分になれます。

また、貸切露天風呂も日帰り入浴での利用は可能ですが事前予約はできないため、空きがあれば順次の利用となります。

露天風呂・展望風呂
【利用料金】ケーブルカー乗車料・露天風呂入浴料・展望風呂入浴料 全て込み
大人 :1,900円　小人: 1,000円
※毎水曜日は大浴場清掃のため定休日となりますので、露天風呂のみの営業となります。

貸切露天風呂
【日帰り】利用料金 : 3,000円/回（税別）
※1,900円/人の入浴料が別途必要
【利用時間 】60分

目で楽しむホテルかずら橋の天空露天風呂、耳で感じるホテル祖谷温泉の源泉かけ流し露天風呂という印象でした。

祖谷温泉は、「日本三大秘湯」の1つに数えられているそうです。
秘湯の定義とは「交通の便が悪いなど秘境の地に湧出する温泉」で、三好市の祖谷地域は「日本三大秘境」の1つでもあるので、まさしく秘湯ですね！

大歩危祖谷温泉郷は、大歩危と祖谷にある6つのホテルと宿からなっており、それぞれが趣向を凝らした温泉と客室を提供し、心からのおもてなしで、皆さまをお待ちしております。

日常から離れ、日々の疲れを癒し、心と身体の両方がリラックスできる秘湯へ、ぜひお越しくださいね。