GASTRONOMY
2021.12.21
三好市の新たな食の魅力創出を目指す「三好市ガストロノミープロジェクト」。12月7日、市内飲食店を中心に構成される「まちなか」グループで、第2回目の試食・検討会が実施されました。前回に引き続き、会場となったのは、地域交流拠点「箸蔵とことん」(三好市池田町)のイベントスペース。本プロジェクトのメンター、京都の老舗料亭「菊乃井」常務取締役の堀知佐子さん指導のもと、三好市の伝統的な食材をアレンジした新メニューを試作しました。
事業の自立性、継続性を高めるために
当日は、「カフェ&カルチャー クレヨン」(三好市三野町)、「heso salon」(三好市池田町)、「古民家宿Cafe & Bal YAMAYA」(三好市山城町)、「酒と串焼き home」(三好市池田町)、「味どころ 米舞」(三好市池田町)、「イタリアンバール イスバ」(三好市井川町)、「MINDEキッチン」(三好市池田町)の計7店舗から代表者が参加。冒頭、食のメンター堀さんからメニュー紹介のほか、「お店で提供する際のオペレーションなど、みんなで考えながら進めていきましょう」といった挨拶があり、各店舗での提供や店舗ごとのアレンジなどを意識しながら、第2回目の試食・検討会は始まりました。
山間地域を支えてきた伝統的な食材を使って
メイン食材となったのは、日本の伝統的な食材である雑穀類。山間地域の食を昔から支えてきた素朴で自然的な食材です。今回用意された雑穀は、そば米、たかきび、ひえの3種類。そば米とは、そばの実を茹でてから乾燥させ、外側の皮をむいた状態の雑穀で、祖谷地方発祥の郷土料理「そば米雑炊」でも知られています。たかきび、ひえは、近年人気が高まっているグルテンフリーの食材。食物繊維やミネラルが豊富に含まれており、最近では抗酸化作用も注目されています。また、ひえは、“シコクビエ”(ヤツマタ)という種類の穀物が使用されました。こちらのシコクビエ、日本が米食になる以前は全国で栽培されていましたが、現代では三好市の東祖谷地域を始めとした、四国や中部地方の一部の山間地域でしか栽培されていません。そのため、生産者も販売元も少なく、「幻の穀物」と呼ばれています。それらの雑穀と合わせるのは、祖谷地方の特産品。一般的な木綿豆腐よりも更に固く、大豆本来の味がしっかりと楽しめる祖谷豆腐と、プリプリとした弾力の強い食感が特徴的な祖谷こんにゃくです。その他、地産の野菜、前回に続いて市内生産者さんが栽培した原木しいたけなどが用意されました。
シコクビエ(ヤツマタ)
見た目も鮮やか、カフェご飯風の雑穀リゾット
今回試作した新メニューは、「そば米とこんにゃく・雑穀のリゾット」。複数種類のリゾットを作り、その味わいに合うように、各食材との組み合わせや付け合わせにバリエーションを持たせます。1品目の雑穀リゾットは、キノコ類を加えた洋風トマトリゾット。チーズをたっぷり入れて、グリルした特大しいたけに乗せます。仕上げに、スライスしたトマトを上に
重ねることでジューシーさをプラス。見た目も華のある一品です。2品目は、同じくトマトベース。鶏肉を加えることで、満足感のあるコク深いリゾットになり、香ばしく焼いた甘みのある白菜で包み込めば、食べ応えも抜群です。3品目は、濃厚クリーミーなミルクリゾット。たっぷりのバターがコクとまろやかさをアップさせ、シンプルながら味わい深い一品に仕上がりました。4品目の雑穀リゾットは、これまでの洋風とは打って変わった和風仕立て。あっさり和風な味付けが素朴な雑穀と相性が良く、柔らかく煮た大根の上に乗せれば、高級感と華やかさも感じます。また、今回も地産品を使い、アドリブでもう一品。秋冬が旬の里芋を味付けし、揚げ焼きにしました。
洋風トマトリゾット
トマトベースリゾット白菜包み
ミルクリゾット
和風リゾット
里芋の揚げ焼き
第3回目はスイーツとフェアに向けた完成品を
三好市の食の活性化や課題解決に取り組む「MINDEキッチン」の大掛達也さんは、「そば米を使って欲しい、という声はずっと上がっているので、雑炊以外の活用方法としてリゾットを学べたのは良かったです。ぜひ実践したい」と語り、他のメンバーからも「アレンジしながら使ってみたい」という声が複数上がりました。堀さんからは、「雑穀類は表現次第で“和”以外でも楽しめ、新しいイメージを作ることができるので、今日のようなアレンジはカフェでも出せると思います」と、継続的な取り組みに繋げられるアドバイスが締めの挨拶で語られました。
アットホームな雰囲気で、グループ内のコミュニケーションやスムーズな連携が印象的な「まちなか」グループ。次回、今年度最後となる第3回目の試食・検討会では、スイーツの試作メニューのほか、2022年2月に東京都内で開催予定の三好市フェアに向けて、提供する料理を一気に仕上げていきます。