SPECIAL
2024.09.19
徳島の秘境・大歩危峡を船で巡る冒険に出かけませんか?
ゆったり30分の船旅で、目の前に広がる断崖絶壁に圧倒されること間違いなし!
ベテラン船頭さんのユーモア溢れる案内で、2億年の歴史を持つ岩肌の秘密や、四季折々の絶景スポットを楽しめます。予約なしでフラッと乗れるのが嬉しいポイント。
家族みんなで、恋人同士で、友達とワイワイ、はたまた一人旅で。大自然のパワーを感じながら、心も体もリフレッシュ!
吉野川の清流に揺られて、ちょっぴりワクワクする船旅を楽しんでみませんか?
国道32号線を三好市の中心部から車で約30分、JR土讃線大歩危駅からだと車で5分、徒歩約25分の所に大歩危峡まんなかはあり、レストランやお土産店と共に観光遊覧船の乗船場があります。
入ってすぐの所で乗船名簿を記入し、乗船券売り場で乗船券を購入します。
運行時間:9:00~17:00(最終出航 16:30)で随時運行となっており、予約は要りません。
料金:大人 1,500円 / 子供 750円(3歳~小学生まで) ※団体割引や障害者割引もあります
詳細情報:大歩危峡観光遊覧船
乗船券を購入したら、通路を通り川辺まで下りると遊覧船が出迎えてくれます。
25名まで乗られる大きな船の好きな席に座って、ライフジャケットを装着すると出発です!
ライフジャケットは「水感知自動膨張式(手動可能)腹巻型ライフジャケット」といい、腰に装着するタイプで子供(小学生)でも簡単に装着できます。
車の後部座席の真ん中のシートベルトや、ジェットコースターなどのベルトをイメージすると分かりやすいでしょう。
もちろん、ベストタイプのものもあります。
川辺に下りた時から涼しくて心地よい風が吹き、歩く速度ぐらいのゆったりとした速度で船は進みます。
川面から見上げる雄大さに圧倒されます!!
上から見下ろす美しい大歩危峡とはまた違った、ダイナミックで荒々しい45°の斜めの層になっている岩が次々と現れます。
大歩危峡の岩石は、2億から1億年前に地球の深部で低温高圧型の変成作用を受けた結晶片岩(ケッショウヘンガン)で、結晶片岩の中には礫(小石)を含んだ含礫片岩(ガンレキヘンガン)という非常に珍しいものもあり、徳島県指定の天然記念物になっています。
吉野川の神秘的な緑色は緑色片岩という結晶片岩の分類の1つからなっており、これは三波川編成帯によるもので、関東山地から九州まで約1,000kmにも達する変成岩帯です。
プレートの運動によって地下深くまで運ばれ、変成作用を受け砂質片岩や含礫片岩となり、隆起し吉野川の浸食によって誕生したのが大歩危峡です。
「こういう岩石が露出している所は大変珍しく、埼玉県の長瀞と大歩危峡ぐらい」と、船頭さんが話してくれました。
三波川変成帯で繋がっているのが分かりますね!
2億から1億年前というと、ジュラ紀から白亜紀の時代です。
途方もない年月の産物が、今私達の目の前にあるのはとても不思議ですね。
川面近くの岩石にアイスクリームディッシャーですくったような、丸くへこんだ部分が見えます。
これはポットホールといい、水流の浸食でくぼみになり、くぼみの中に小石が入り回転して拡大したものです。
「雨垂れ石を穿つ」とは言いますが、水が岩に穴を開けるのもまた長い年月を要します。
「小歩危の岩石は川上に傾いていて、大歩危の岩石は川下に傾いています。また、吉野川にはアユ・アマゴ・鯉・鰻が生息しています」
船頭さんの淀みない説明で、大歩危峡に詳しくなれました。
この日はまだ台風の影響で水が少し濁ってはいましたが、浅くなっている所では底の石が見えました。
流れが早い所では、渦も見えます。鳴門の渦潮には負けるかもしれませんが、大歩危の渦も見られるとラッキーかも!?
「吉野川の1番深い所で20mぐらいあるとも言われています。2mあると噂の川の主の鯉がいるかも?」とちょっと面白おかしく船頭さんが話してくれました。
途中で、名岩と名高い獅子岩の前を通過。
これこそ遊覧船に乗ってこそ見られるもの!
国道32号の方を向いた獅子の頭のように見える岩です。遊覧船に乗った全員が写真を撮っていました。
更に船頭さんは、大歩危峡を縫うように走る観光列車から、かずら橋や妖怪の里の紹介し、「春はイワツツジが咲きます。台風で枝が折れるから大きくならないんですよ。4~5月にはこいのぼりが大歩危峡を泳ぎ、夏は新緑で青々とした景色、秋の紅葉は11月いっぱいまで見頃で、冬は木が樹氷みたいになったりすることも」と、四季折々の大歩危峡の景観が目の前に浮かぶように話してくれました。
岩の向きが水平になった辺りが折り返し地点です。
この先は小歩危峡で、底が浅くなり遊覧船では行けないんだとか。
帰りには、英語のアナウンスも流れます。
行きは歩く速度ぐらいのゆっくりさでしたが、帰りは少し速いように感じました。
全く濡れませんでしたし、元の乗り場に戻るので帰りの心配もいりません!
遊覧船の方に、少しお話を伺いました。
「船頭達は30年以上の大ベテランもいて、短くても10年以上の経験がある人なんですよ」
だから、ゆったりとしつつも聞き取りやすい話し方なんですね。
「いつから遊覧船を運営しているのですか?」の質問には、「昭和初期から遊覧船をやってます。昔は木の船で下るだけだったんですよ、今の船は3~4代目です。乗船券売り場から、遊覧船の所まで下りていく館内の通路に、昔の写真がありますよ」と話してくれました。
実は大歩危峡観光遊覧船は、明治24~25年(1891~1892年)頃に現在の「レストラン大歩危峡まんなか」と「峡谷の湯宿大歩危峡まんなか」を開業した大平磯吉氏が吉野川で漁をしていたところ、吉野川の景観にいたく感動し、宿泊客を舟に乗せて大歩危峡を見せ好評を博したのが始まりだったそうです。
その後、息子である一五郎氏が舟から発動機付きの新型船に切り替え、鉄道の開通を機に大歩危を名勝地として広く宣伝し、剣山国定公園に編入された事で観光客の増加に伴い大型船になり、約30分での遊覧という今の形になりました。
素晴らしい景色を独り占めする事なく、大勢に見てもらいたい!と2代に渡って心血を注いだ結果が観光遊覧船なんですね!
一緒に行った子供達は、
「涼しくて気持ちよかった、意外と岩がゴツゴツしてたけど、自然が綺麗だったし鴨や渦が見れて楽しかった」
「涼しかった、乗り込む時は意外と揺れた。今までで1番水位が上がった所(平成26年8月の豪雨でまんなかの地下駐車場まで水がきた話)が凄かった」と話してくれました。
1階の乗船券売り場に戻った時には、時間帯によってはお腹が空いている事もあるかもしれません。
そんな時には、まんなかのレストランで食事も摂れますし、アイスクリームなどのスイーツもあります!
ついさっきまでは下から見上げていた大歩危峡を、今度はレストランの窓から眺めるというのも良いですね。
また、館内にはお土産店もあります。まんなかオリジナル商品や、地元工房で製造しているお菓子、大歩危茶や祖谷そばや地酒など、ここでしか買えないお土産で思い出を形にしましょう!
更に、大歩危峡の成り立ちや岩石が気になる!もっと間近で見てみたい!という方は、まんなかから車ですぐの「道の駅 大歩危」へ行ってみましょう!
道の駅大歩危には、妖怪屋敷と石の博物館があります。
更に、祖谷ジビエを使ったジビエバーガーなどを販売する「Cafe&ジビエ」もあり、展示を見る前後の腹ごしらえに持ってこい!!
石の博物館にはギネスブックに載っている世界最古の岩石や、鉱石や隕鉄などが展示されています。
化石や宝石もあるので、地質学に詳しい訳ではないけれど鉱石を見るのが好きな筆者にはとても楽しめる施設でした。
石と人の生活の関わりについても知る事ができます。
大歩危峡で採掘された含礫片岩を展示すると共に、大歩危小歩危の成り立ちについての解説もあります。
ここにも昔の川下りの写真がありました。白黒で、更に文字が右から左に読むようになっている所に、時代を感じますね。
大歩危峡を普段は上から見ているので、川面近くから見上げる遊覧船に乗らないと見られない景色がたくさんありました。
車で通るだけでは見られない迫力ある渓谷を見るために、乗る価値ありです!!
随時運航なので、気軽に寄って乗れます。「やってるからちょっと行ってみよう」と、事前の準備が無くても大丈夫です。
20分間隔で運航しており、そんなに待ち時間もありません。
30分で行き来ができますし、出発地点に戻るので川下りのように下った先での移動をどうするかの心配も要りません。
ただし、良い天気の日でも前日までの雨の量によっては欠航になる事もあるので、確認してください。